⛓️ブロックチェーン

SMPの中核をなすトークンの実装には、広義のブロックチェーン技術を活用します。ブロックチェーン技術を用いることで、同じくブロックチェーン技術によって実装された他のトークンやデジタルアイテムとの交換を容易にするだけでなく、データの改ざんや検閲といった不正行為を発見しやすくすることで、流動性や透明性の高い経済システムを構築しやすくなります。

ここでいうブロックチェーン技術とは、世界初の暗号資産であるビットコインを実現するために発明されたアイデアであり、その後ビットコイン以外のさまざまな用途に適用するために抽象化された技術です。ただし、ビットコインのアイデアを記載したペーパーなどにブロックチェーンの定義が書かれているわけではなく、何をブロックチェーンと呼ぶかはプロジェクトごとに揺れがあります。また、ブロックチェーンは発展途上の技術であり、日進月歩の技術革新が続いています。SMPでは、特定のブロックチェーン技術に依存しすぎることなく、様々なブロックチェーン派生技術の利点を組み合わせながら、最適なユーザー体験の実現を目指します。

パブリックチェーンとプライベートチェーンの技術的統合

様々なブロックチェーン派生技術を分類すると、不特定多数の参加者によってネットワークが構成されるパブリックチェーン系と、特定の参加者によって構成されるプライベートチェーン系に大別できます。これらは単に技術的分類というだけでなく、しばしば両者の思想的分断を引き起こしてきました。例えば「プライベートチェーンは真のブロックチェーンではない。」「多くのユースケースにおいてパブリックチェーンを利用する必然性がない。」といった批判が行われることがありました。これは、ビットコインの登場が社会に与えたインパクトを、どの側面から捉えるかによる立場の違いとも考えられます。

ビットコインの登場は、社会に2つの大きなインパクトを与えました。ひとつめのインパクトは、いわゆるナカモトコンセンサスと呼ばれる確率的合意アルゴリズムの発明によって、不特定多数の参加者で構成される分散システムの実現可能性を実証したことです。これによって、特定のサービス提供主体に依存しない、だれもがサービス提供者の役割を担いながら、自立分散的に動作し続けるシステムの実現が可能になると考えられました。イーサリアムをはじめとする多くのスマートコントラクトプラットフォームは、こうした自立分散的なアプリケーションを実装するための基盤となることを目指しています。

一方、多くの一般ユーザーにとって、自立分散的に動作し続けるシステムを支える担い手となる負担は、現実的に無視できないほど大きいものでした。ビットコインを保有したり決済に利用したりしようとする多くのユーザーは、そのためだけに自身でビットコインのノードを立ち上げることまでは実行しません。多くの場合、暗号資産取引所の口座上のみでビットコインを売買したり、ウォレットアプリだけをインストールして、ビットコインノードの運用自体はインターネットの向こう側にいるだれかに委託している、という場合がほとんどです。そのような、サービスの提供や運用をだれかに委託している場合でも、その主体が不正行為を行っていないかという検証は、だれもが簡単にできることは重要です。

ビットコインの登場が社会に与えたもうひとつのインパクトは、システムの内側にいるサービス提供者の一部が信頼できない場合でも、システム全体としては正しく動作し続けることを保証すること(いわゆるビザンチン障害耐性)の重要性を再発見したことです。ビザンチン障害耐性を持った分散システムは、ビットコイン登場以前から存在していましたが、広く社会に浸透していたわけではありませんでした。しかし、ビットコインの登場と同時期に発生したさまざまな金融不安や企業による不祥事は、国家や企業を必ずしも完全に信頼できないものとして捉え、ユーザー自身がサービス提供者の不正を監視したり、自身の権利を守ったりすることが可能なシステムの重要性が再認識されました。

こうした2つの大きな思想のトレンドは、お互いに矛盾するものではなく、本来は相互に補完しあうことができるものです。SMPでは、ユースケースごとにパブリックチェーンやプライベートチェーンを使い分け、両者のメリットを最大限享受することができるアーキテクチャを採用します。これにより、ユーザーはパブリックチェーン特有の制約(ガス代・処理速度・秘密鍵管理など)に囚われることなく快適なサービスを利用でき、パブリックチェーンとしての透明性や分散性を保つことができる状態を目指します。

SMPの初期段階では、下記のようなアーキテクチャのもとでユースケースごとに最適なブロックチェーンを選定します。

Ethereumチェーン

トークンの初期発行や長期保有のためのチェーンは、多くのバリデーターや資産を抱えるEthereumを採用します。これにより、チェーン自体への攻撃やサービスの停止といったセキュリティリスクを軽減します。また、取引所での取り扱いや、多くのウォレットアプリでの取り扱いを容易にするメリットもあります。

Oasys Hub(Oasys L1)チェーン

Oasys Hubは、Game関連サービスに特化したEVM互換のL1チェーンです。OptimismをベースとしたLayer 2のVerseチェーンを複数接続可能なアーキテクチャにより、エンドユーザー向けにで高速なトランザクションを実現しています。また、Oasys Hubを経由して、Ethereumをはじめとするさまざまなパブリックチェーン間で容易にトークンを移転できるブリッジ機能を提供することで、それぞれのパブリックチェーン同士を個別に接続することなく、効率的な相互運用性を実現します。

DM2 Verse(Oasys L2)チェーン

DM2C Studioは、自社やパートナーが提供するサービスを構築・運用するためのOasys Layer 2チェーン(DM2 Verse)を独自に構築し、提供します。Ethereum上で発行されたトークンは、送金のために高額なトランザクション手数料を支払う必要がありますが、Oasys Hubを経由してDM2 Verseに持ち込んだトークンは、ガス代無料で高速に取引することが可能です。また、DM2 Verse上でユーザーが入手したNFTは、Verseチェーン上に閉じて流通させることも、Oasys Hubを経由して他のVerseチェーンやEthereumなどのパブリックチェーンに移転して外部のマーケットプレイス等で売買させることも可能です。

その他、エコシステムの拡大を目指して、さまざまなチェーンとの連携を行い、展開していく予定です。

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